13日の金曜美術館|アトリエ如瓶|ブログ・ヘッダ画像

このブログは、世の中の様々な「黙っていられん!!」ことを書くことを主旨としております。お客様や、お客様になるかも知れない方が読む可能性のあるブログではありますが、(書き手が勝手に決めたものながら)主旨を尊重し、常体文で記述して参ります。何卒お含みおきの上、お読みくださいますようお願いいたします。

007 ゴールドフィンガー

皆様、こんばんは。館長&代表の如瓶です。

ふう、どうにか週イチペースで着手。頑張ってイラストを仕上げたお陰だったりする。

今回は、007シリーズ3作目となる『ゴールドフィンガー』について書こう。
結局、これぞというものを選んで……とか書いて書き始めたものの、漏らさず採り上げているけれど、やはりショーン・コネリーのボンドが好きだし、私の生まれる前の作品を気に入ってしまうのは、私が懐古趣味だからかも知れない。

さておき、1作目、2作目と映画がヒットして、予算も集まりやすくなったからか、どのシーンにも、スタッフが張り切って制作にあたった勢いのようなものが感じられるのがこの作品。
ボンドガールや秘密兵器、個性的な敵方に付け加え、様々な仕掛けを施したボンドカーも登場したのも潤沢な予算のお陰なのか、ともあれシリーズのウリとなる要素が揃ったのもこの作品からだった。

前作のボンドガールは、すぐに女優さんの名前を覚えてしまうほど印象的だったが、この作品のボンドガールは少し出番が控えめ。オナー・ブラックマン扮するプッシー・ガロアはなかなかのグラマー美人なのだが、干し草小屋でボンドと投げの打ち合いをしたりなど、猛々しい役回りがイメージとしてはマイナスな印象があった。

映画のタイトルにもなっている「ゴールドフィンガー」とは、金に異常な執着を見せ、金のためならどんな悪事にも手を染め、人の命など屁とも思わない残忍さも持ち合わせたでっぷりした企業家の名前なのだが、その風貌も相まって、どこか憎めない印象もある。

敵方として書き落とすわけにはいかないのが、ゴールドフィンガーの用心棒で召使い(?)の、Oddjobという日系人。ハロルド坂田という、ハワイ系日本人が演じており、もともとは重量挙げの選手やらプロレスラーなどやっていた人らしい。もともと役者じゃないからか、原作でそうなっているからなのか、口がきけない設定になっており、それがまた不気味な存在感を放っている。
ボンドを若山弦蔵氏が、ゴールドフィンガーを滝口順平氏が声を当てた吹き替えでは、オッドジョブではなく「よろず屋」と呼ばれているが、Odd jobを調べてみると「雑用」という意味があり、古い吹き替えでは「よろず屋」となっていたのが肯ける。
ゴルフボールを握りつぶすほどの怪力で、いつもかぶっている山高帽のつばには円形の金属(刃物?)が仕込んであり、武器として使っているあたりも個性的。当てれば人を殺せるような金属を仕込んだ帽子をいつもかぶっていては、危なくてしょうがないと思うのだが。

……と、ここまで読んできて、「ひょっとして今回のイラストは……」と思った方、正解です。今回は、また敵役だけれど、「よろず屋」を描きました。

007シリーズでは、敵方の親玉の用心棒にあたる屈強な男が頻繁に登場するけれど、そんな中で、この「よろず屋」が私は一番好き。
日系人だからというのは大きな理由ではないのだけれど、怪力の殺し屋でもある反面、時折見せるニヤッという笑顔はどこか人懐っこいものを感じるし、ボスであるゴールドフィンガーから、金塊を保管してある巨大な金庫に時限装置を仕掛けた原爆とともに、ボンドや他の手下と共に閉じ込められ、見捨てられたことが分かっているはずなのに、ゴールドフィンガーの作戦を達成するために、涙ぐましい忠誠心を見せるあたりは、久しぶりに観てみてグッと来るものがあった。(観た方には分かるような書き方にしてあります)

このシーンのちょっと前から、ボンドとの格闘シーンがあるのだが、金塊を投げつけられても胸で弾き返し、顔を殴られてもニヤッと笑ってみせるなど、その屈強さの描かれ方もいいし、投げ飛ばして倒れ込んだボンドに対して、「さあ立て。もっと楽しもうぜ」というジェスチャーをみせたりなど、このシリーズの「屈強な敵役」の中でもベスト3に入る強さなのではないだろうか。
ただ、(ちょっとネタバレ)イラストの背景の左側にも描いておいた金属のパイプの間に挟まった帽子を取ろうとした際に、ボンドが高圧電流ほとばしる切断されたケーブルを金属のパイプに押し当てて感電させることによって、「よろず屋」は絶命してしまうのだけれど、打ち上げ花火が暴発したかのように激しい火花が飛び散らせているのは少々やりすぎな感じがする。
不死身とも思えるこの男を絶命されるためにはこれくらいやらなきゃ……という演出なのは分かるが、人が感電したことによってほぼ画面全体が白くなるほどの火花は、多分発生しないと思う。
Wikipediaでもこのシーンについて、ハロルド坂田氏は仕込まれた激しい火花のせいで火傷をしたらしいが、カットがかかるまで手を離さなかったという裏話を掲載している。強い忠誠心は役柄だけではなかったようだ。

……とまあ、壮絶な最期まで含めて最もお気に入りの敵役の「よろず屋」が今回のイラストでした。

もう一つだけ、ツッコミを。
ストーリーの前半で、もともとゴールドフィンガーの手下だった女性をボンドがたらし込み、ベッドインし、冷蔵庫へ冷えたシャンパンを取りに行こうとしたところを、「よろず屋」の一撃で昏倒させられ、目を覚ましたボンドが、ベッドインした女性が全身隅々まで金粉を塗られて窒息死しているのを発見し、唖然とする有名なシーンがある。
ほぼ全裸で金粉を塗られた美女がベッドで絶命しているシーンは、この映画の前半の最も印象的なシーンと言えるだろうけれど、映画では描かれていないボンドが昏倒している間のことを考えると、なかなか凄まじいものがある。
「よろず屋」が、ボンドを昏倒させたのち、ベッドインしていた女性のところへ行って、金粉を塗ったのだろうけれど、まさか女性の意識があるうちに、刷毛あるいは素手でペタペタと金粉を塗ったわけではないだろうし、ボンド同様、一撃で昏倒させて意識をなくした状態で金粉を塗ったにしても、その様子は猟奇的を通り越して変態的だ。
映像で確認できる限り、シーツなどに金粉が付着しているようでもなかったので、女性の皮膚だけに丁寧に丁寧に金粉を塗ったのかと思うと、ますます異常な光景だし、金粉を塗り終えた「よろず屋」が、ニヤッと笑ったりしたのかと想像すると、まあ映像化しないのが正解だったかという気もする。
「よろず屋」ファンの私としては、ゴールドフィンガーから命じられるまま、いやいやながら事に及んだと思いたいのだけれど。

シャーリー・バッシーの唄う主題歌も有名で、現在放映中のバラエティーでもイントロが使われていたりするけれど、『ロシアより〜』同様、この主題歌も私のカラオケのレパートリーだったりすることも含め、黙っていられませんでした。