便利に毒されし者の北海道おっちょこちょいスケッチ旅行・2002年

旭川からサロマ湖へ

8月10日・夕方まで

11:00頃、旭川に降りると、僕はルートチェックなどせずに、まずは市内を走り回った。
ネットによって、事前に得ていた情報によると、ここにはホーマックというホームセンターがあり、そこでならおよそ充分なキャンプ用品が入手できることを知っていたからだ。
僕の認識では、旭川を通過すると都市らしい都市はないので、サロマ湖へ行くならここが最後の物資調達地点のはずだったのである。
僕は、あらゆる局面でよく忘れ物をする。そこで、持っていくものをリストアップし、PCに入力してプリントアウトして作ったチェックシートまで用意して、この旅行に望んだのだ。
煙草を吸う僕は、普段からオイルライターのZippoを愛用している。火が風で消えにくいので、煙草に火をつける以外にも役に立つことがあろうと思ったし、キャンプ場などワイルドな雰囲気の中で使ってこそ浮かばれようというもの。キャンプの雰囲気を満喫するためにも必携の小道具と思い、前述のチェックシートに、専用のオイルや予備の石まで書き加えていたのだ。
ところが!! 大間抜けの僕と来たら、オイルはチェックシートに蛍光ペンで印を付けるまでしてキチンと用意したにもかかわらず、肝腎のZippoだけは忘れてきてしまっていたのだ! いつも穿いているジーンズの後ろポケットに常に入っている物なので、チェックシートにも書き込んでいなかったのだ。
最初に休憩をとったS.A.で、それに気づいた瞬間、僕は自分のマヌケぶりに腰が抜けそうになった。
そうした経緯で、荷物として持って行くよりも、現地で調達した方がよいものと一緒に、できることならZippoも購入したかったのだ。その都市随一のホームセンターなら、Zippoがおいてある確率はゼロではない。

「旭川にはホーマックがあるよ」という情報だけしか持っていなかった僕は、そういう大きなホームセンターならすぐに見つかるだろうと高をくくり、斯くして旭川の街を走り回ったのだ。
果たしてホーマックは、10分も走り回ったかと思う頃に見つかった。噂通り、大きな構えのホームセンターだ。

198円のZip……もとい、オイルライター。
198円のZip……もとい、オイルライター。このようにちゃんと使えた。バーコードのついたラベルが何とも……。
入店し、濡れナプキンや、ティッシュペーパー、そして携行用の歯ブラシを購入した。キャンプ用の皿などもあれば便利かと思ったが、かさばるし、一人分としては数が多い。割り箸も購入の予定だったが、これも一人では使い切れない本数のものしかなかったので、購入を見合わせた。
さて、Zippo。これは、ホーマックをもってしても取り揃えがなかった。初めて来た土地でデパートなどを探し回る気になれなかった僕は、あきらめてレジに並んだが、ふと気が付くとレジ横のライターなどがおいてある棚に、Zippoらしきものを発見した。
「あっ!」と思い、レジを離れて確認すると、made in Chinaの立派な類似品。値段もなんと198円。通りかかった店員さんに「これ、ちゃんと点くんですか?」と失礼な質問をし、「大丈夫。ちゃんと点きますよ」との答えをもらい、とりあえず購入した。キャンプをしている間だけもてばいいのだ。途中で壊れても、いい笑い話になるだろう。(実際は、今もキチンと使える優良品であった)

最後の物資調達を終えた僕は、国道39号線に乗り、サロマ湖を目指した。
ホーマックを探したときにも思ったが、相変わらず北海道らしい所を走っているという実感は乏しい。
僕の実家の鹿児島なども同様だが、街並みには全国チェーンの見慣れた店が建ち並んでいて、初めて来た場所という印象に乏しい。
道が広く、高い建物が少ない分、空がとても広く見えるのと、真新しい見慣れた看板に混ざって、色あせた商店の看板などが見受けられたの以外に、特筆に値する印象はなかった。

一路サロマ湖へ

しばらく行くと、時間も正午を過ぎ、お腹もすいてきた。スケッチする場所や、キャンプ場に目星をつける以外に何の情報も持っていなかった僕は、どんな食事をとろうか迷ったが、なあんだ、北海道にもあるじゃないか「道の駅」。
道の駅とは、あちこちの国道にある、国道版S.A.のような場所だ。ここなら、土産物や土地々々の名産品もおいてあるので、「北海道らしいもの」が食べられるチャンスもあると思えた。
駐車場にはいると、他にも積み荷満載の単車が数台停まっている。
僕はとりあえず食堂に入り、めぼしいものがあるかどうかを確認したかったが、店員さんに「お一人ですね? こちらへどうぞ」と、カウンターの席に案内されてしまった。店に入ったらとにかく食えというのが、ここの決まりらしい。
メニューを物色したところ、「らしいもの」ほど、いい値段だ。旅の最初っから食費にお金をかけたくなかった僕は、最も値段の手頃な味噌ラーメンを頼んでしまった。
ラーメンを食べたとしても、九州テイストの豚骨スープのものしか食べない僕には、そこの味噌ラーメンはとてもしょっぱく感じた。スープもほとんど残した。写真を撮っていないのはそういう事情だ。

網走湖1
網走湖2
網走湖。白樺の木が唐突に生えている所は中島になっている。撮った写真を見ても、やはり描いておけば良かった……と思う。
勘定を済ませ、とっとと食堂を出た僕は、休憩がてらに土産物の売り場などを物色したが、何だかどれも高価だったので、購買意欲をそがれ、休憩もそこそこに道の駅を離れた。
景観といい、食といい、何だか期待を裏切られ続けている気がしたが、旅の目的は別なところにあるのだ。気にしない、気にしない。

その後は、国道39号線を進み続けた。そのまま走り続ければ、やがてサロマ湖に到着する。
日常的な速度で走行していると、荷物のずり下がりによる下半身の圧迫もそれほどひどくなくなったし、雨もやんだので、寒くもなかった。

この旅で初めて、デジカメで自分を撮った。
この旅で初めて、デジカメで自分を撮った。交通量の多いバイパス入口付近で、デジカメに小型の三脚を立てて撮影するのは、少々恥ずかしかった。
途中、網走刑務所やいくつかの湖や温泉など、観光スポットを通りかかったが、僕の旅の主たる目的はスケッチ、しかも水辺のスケッチなので、惜しげもなく通過したのだが、途中で2カ所だけ寄り道した。
1カ所は網走湖。僕が上陸してから、初めて北海道らしい光景を見たと思えたからだった。国道に設けられている休憩所兼駐車場のような所からチラリと見えた光景に、思わず単車を停めてしまったのだ。
これまで、肩すかしを食らい続けてきた印象だったが、ここへ来てようやく満足のいく光景を目に出来たような気がして、思わずニンマリした。
さすがにここを描きたいと思ったが、あと2時間もすれば夕暮れ時だ。スケッチを始めるには少々遅すぎる。サロマ湖のスケッチを充分にやった後、ここへ戻って来ようと思い、写真だけ撮ったのだが、今にして思えば予定を変更してでも、ここで一枚描いておけば良かったと思う。

もう一カ所は、美幌町。ある事情があって、ここへ来た証拠を残したくて写真を撮った。
詳しい事情は第三者の個人情報に関わることなので、写真だけの紹介にとどめさせていただく……というか、書くほどのことでもないのだけど写真を撮ったので思わせぶりなことを書いているだけだったりして……。(恐縮)

ともあれ、ようやく、第一の目的地、サロマ湖だ!

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